樹脂の物性について
こんにちは!皆様いかがお過ごしでしょうか。
八月も後半ですがまだまだ暑い日が続きますね。
前回の投稿を見ると体調を崩していた旨の
前書きがありましたが、一昨日あたりからまた
喉の痛みが、、、年を経るごとに体調管理が
難しくなっているのを感じます。
昔はこんなにヤワじゃなかったのですが、、、
皆様も冷房の当たりすぎ等にはお気を付けください。
弊社の稼働状況は相変わらず余裕がある状況ですが、
ここ最近、新規のお引き合いが増えてきており
嬉しいばかりです。引き続き新規、試作、移管等の
ご相談ございましたらお気軽にご連絡下さい。
さて、今回は樹脂の物性について書いていこうと思います。
樹脂に限らず世の中に存在するあらゆる素材にはその物の性質
を表す物性表というものが存在します。その表には様々な項目の
試験結果が記されていますが、一般の方が見てもそれが
どういった試験が行われ、どんな物性を表しているのかはかなり
分かりづらいのではないかと思います。(実際私も深くは理解できていません)
そこで今回は樹脂に詳しくない方でも物性表の各項目が何を表しているのか
専門用語を使わずに直感的に理解できるように、私自身の勉強も含めて
解説していきたいと思います。しかし、私も調べながらの解説と
なりますし、分かりやすくするためにフワッとした表現になる為
少し理解が異なる所も出てくるかもしれませんが今回はあくまでも
大枠で捉える為の記事になりますのでその辺りはご了承ください。
まずは、実際の物性表をご確認下さい。弊社で多く使用するミラクトラン
という材料の物性表のURLを添付します。
https://www.miractran.co.jp/products/catalog/pdf/miractran_Catalog-20220415.pdf
今回はこの表に沿って各項目の解説をしていきたいと思います。それではいきましょう
硬さ
こちらは読んで字のごとく材料の硬さを表すものです。
これは曲げたり引っ張ったりした時の変形に関するもの
ではなくあくまでも試験片表面硬さの指標です。
試験方法は主にデュロメータという器具を用いて行います。
これは試験片に針の様な尖った棒を押し付け、試験片が
どれくらい凹んだのかを測るものです。
表記としては1~100で表せられ、数値が高くなれば硬く
なります。
100%Mo
100%モジュラスと呼ばれる値で、試験片の長さが
2倍に伸びた時の力を表しています。
これは即ち試験片が引っ張られたときに戻ろうとする
力なので引っ張りに対する強度と考えていいでしょう。
上記「硬さ」とは違った視点での硬さですね。
引張強さ
これは100%Moと同じで試験片に引っ張る力を加えますが、
こちらは試験片が破断した時の力を示しています。
よって値が高ければ硬い?強い?ということになります。
伸び
これは、上記引張強さの試験時、破断した時に試験片の長さが
何倍に伸びているかという値です。ミラクトランは400~600%
も伸びるんですね。表を見ると硬さが柔らかいと伸びが大きく、
硬いと伸びが小さい事が分かります。硬いものは意外に脆く、
柔らかいものは柔軟に。というのは自然の摂理なんですかね。
引裂き強さ
これは材料を裂く力に対する強さを示した値です。
どういった試験をするかというと、動きとしては引張試験と
同じなのですが、試験片の形を変えて真っ直ぐ引っ張っても
裂く力が働くようにしているようです。頭いいですね~。
比重
こちらは言わずもがな、同じ体積の水と比べてどれくらい
重いのかという比較です。厳密には摂氏4度の水と比べる
らしいです。表を見ると1.1~1.2程度という事が分かります。
反発弾性
その材料の反発性を表す項目です。
試験方法は試験片に既定の重さの錘を落とし、落とした
高さと比べてどれくらい跳ねたかを示しています。
例えば、地上50㎝の高さから錘を落として跳ね返りが
50㎝まで跳ねたら100%、25㎝なら50%、全く跳ねなければ
0%といった具合です。
表を見ると柔らかいほどよく跳ねるという事が分かりますね。
圧縮永久歪
ちょっと聞きなれない響きかもしれませんが
「あっしゅくえいきゅうひずみ」と読みます。
これは簡単にいうと材料のへたりやすさを表す項目です。
ゴムやTPU等の弾性体の主要な用途として、Oリングや
ガスケット、クッションやパッキン等、製品のそものに
常に負荷が掛かる環境に使用される事が多く、
このへたりやすさ(圧縮永久歪)は製品の性能に大きく
関わる重要な項目になります。
試験方法は試験片に一定の温度で一定の圧力を一定時間加えて
解放後の厚みと圧力を掛ける前の厚みを比較してどれくらい
の厚みの変化があるかを見ます。もちろん圧力を掛ける前後で
厚みの差が少ない方がへたりにくく性能が良いと言っていいでしょう。
軟化点
これはその物質が温度上昇により軟化(柔らかく)なり始める
温度を指しています。似た言葉として融点というものがありますが、
こちらはその個体が液体になり始める温度の事を指しており、
必然的に軟化点より高くなります。
実際にその製品が軟化した時点でその製品性能は失われていくので
製品使用時の指標としては軟化点が重要になるでしょう。
逆に製品製造時には融点の方が必要な情報になる事もあるでしょう。
摩耗性
こちらは材料の耐摩耗性を表す項目です。
詳しい試験方法はJIS K 7311に譲りますが、
試験片に砥石の様なものを圧着、回転させ、1000回転した
時点で元の試験片重量とひかくしてどれくらい削られて
いるかという比較をする試験です。
表を見ると硬いほど多く削られているのが分かります。
ガラス転移点
ここはざっくりと、グニャグニャ柔らかいTPU等の
樹脂をどんどん冷却していって、カチンコチンになる
温度!とでも覚えておけばいいかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
物性表の各項目を芸術的な絵と共にざっくりと理解できる
ように解説してみました。
こういった事は知らなくても生活には困らない事なので
なかなか取っつきずらい印象もあるかと思いますが、
これをみて「そうかそういう事か」と少しでも身近に感じて
いただけたら嬉しいです。
私自身も調べながら書いていったので勉強になり、いい機会となりました。
また、何かネタを見つけてザックリ解説をしていけたらと思います!
それではまた