材料のお話その2。分類について。
こんにちは!皆様いかがお過ごしでしょうか。
ここ数日は何をするにも心地よい気候になってきましたね。
GWも近づき、私自身も少し浮かれ気味になってきていますが、コロナウィルス
感染者がここにきてまた増加傾向にあるということで、東京、大阪、兵庫、京都に
緊急事態宣言が発令されました。気温、湿度が上がる季節になれば治る傾向になるかと
思っていましたが、どうやら変異株の感染が多い様で、そう簡単な話ではないようです。
まだまだ一進一退の状況が続きそうですが、しっかりと対策を行い、収束の日を待ちたいと思います!
熱可塑性?熱硬化性?
さて、早速前回からの続きで材料についてのお話をしていきたいと思います。
まず、TPU(熱可塑性ポリウレタン)の熱可塑性とはどういう意味を指すか。というところ。
樹脂には熱可塑性と熱硬化性という大きな括りがあります。ざっくり説明すると
熱可塑性は熱を加えれば材料が溶けて何度でも成形が可能。熱硬化性は一度硬化してしまうと
再度熱を加えても溶けずに元には戻らない。という特徴があります。よく例えられるのがお菓子で、
熱可塑性はチョコレート、熱硬化性はクッキーだとイメージすると分かりやすいかもしれません。
この2つの使い分けについては、熱硬化性樹脂は熱に反応しにくいわけですから、高温状態に至る
環境下で溶けては困る箇所に主に使われています。(主に食器、配電盤などの電気設備周辺)
しかし、一度硬化してしまったら元には戻せないわけですから、リサイクル性という点では劣る為、
特に特殊な状況でない限り熱可塑性樹脂が採用されるかと思います。
TPUの特性
そんな熱可塑性樹脂の中でもさらに分類され、様々な樹脂に枝分かれしていくわけですが、
その中でもTPE(Thermoplastic Elastomer)と総称される属性にTPUも属す事になります。
Elastomer(エラストマー)とは弾性、伸縮性がある重合体といった意味があり、ゴムに似た
特性を有した材料を指します。前回でも書きましたが、身近な使用例として、スマホカバー、
靴底、ホースなどが挙げられますが、その他にも各種工業用品等、私たちが普段目にする
ことはない場所でも広く使用されています。
TPEの中にはオレフィン系(TPO)、スチレン系(TPS)、ポリエステル系(TPEE)、
塩ビ系(TPVC)などがありますが、その中でもウレタン系のTPEの事をTPUと呼ばれており、
用途によってそれぞれ使い分けられています。
TPE_表TPUの優れている点として挙げられるのが、
①機械的特性が高いというところ。
(機械的特性?という疑問もあるかもしれませんが、これは簡単に言ってしまうと耐久性などを表す
材料の強さと言って大きな間違いはないかと思います。)
耐摩耗性、耐油性など様々な項目で高い特性を持つ為、過酷な環境でも使用に耐えうる材料と言えるでしょう。
②硬度、タイプ等の種類が豊富
TPUはゴムの様な柔らかいものから、汎用プラスチックのような硬いものまで再現できます。
また、耐水性が良いタイプ、耐油性が良いタイプ等の区分けもあり、用途によって使い分ける事も可能です。
③成形が容易
TPUは射出成形での成形が可能です。従来のゴム成形と比べ効率良く生産できる為、ゴムからTPUへと
材質の転換が進んでいます。
まとめ
このような特長があるTPUですが、これまでの事をまとめますと、
「TPUとはゴムの様な柔軟性を持ち、ゴムと比べ成形が容易で、且つ熱可塑性樹脂に属す為リサイクル可能な材料」
といったところでしょうか。
これまでTPUにおける分類、特性などを説明させていただきました。
力不足で分かりにくい点もあったかと思いますが、そこは私の伸び代だと思い、
ご容赦いただければと思います。
次回はTPUの構造、タイプの違いなどもう少し突っ込んだ部分を書いていきたいと思いますので
よろしくお願いいたします!